みなさん、こんにちは!
さて今回の島人インタビューは、久米島の車えび養殖でおなじみの、【南西興産 株式会社】と【株式会社エポック】の2つの会社の代表取締役・本村 浩司さんにお話を伺いました。
今回は、 日本一の生産量を誇る久米島の車えび養殖について、しまんちゅでも意外と知らない情報盛りだくさんでお届けしていきますね。
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車えび養殖場の南西興産は2022年で祝50周年!
久米島町にある、車えび養殖場の「南西興産㈱(なんせいこうさん)」と「㈱エポック」はグループ会社で、本村 浩司(もとむら ひろし)さんはこの2社の代表取締役を兼務されています。
写真右:本村浩司社長、左:㈱エポック・上地淳(うえち あつし)取締役場長
3代目の社長である本村浩司さんは、車えび養殖の下積み時代を経験し、40年ほど車えびの養殖に関わってきたそうです。
本村さんが代表取締役を兼務する2社のうちの1つ、南西興産は『久米島の四天王』と呼ばれ久米島を盛り上げた偉人として知られる伝説の人物、山城幸久(やましろ こうきゅう)さんが創業した会社で、
もう1つのエポックは、昭和59年(1984年)に南西興産の株主が新たに出資して作った会社で、久米島の中では一番最後につくられた会社になります。
今年で50周年を迎える南西興産は6名、エポックは7名、計14名の従業員が活躍されていています。
久米島には4つの車海老の養殖会社がありますが、この4社だけで車えび養殖の生産量が日本一だなんて、すごいですよね。
内地と違うノウハウで生産量日本一へ
昭和47年(1972年)沖縄が返還された復帰の年に、当時の琉球政府が
『沖縄県に水産業の水産施設を作りたい!』
と考えて、久米島漁業協同組合、宮古島の有限会社あさひ養殖部、そして南西興産の3社が車えび養殖の試験を受けたのです。
その試験を受け、みごと車えび養殖の漁業権が設定されることになります。
『車えびの試験てどんなもの?』と思いますよね。
内地の車えびの稚魚を育てるというものだそうですが、試験に失敗し沖縄では車えびが育たないという結果を出したこともあるようなのです。
鹿児島や熊本など、九州では既に車えびを養殖していましたが、内地は車えびの稚魚を、2・3月にいけすに放流しますが、温暖な気候の沖縄では
『夏じゃなくて、冬がいいんじゃないか?』と発想を変え、放流の時期を6・7月へと4ヶ月ずらしてみたのです。
つまり夏に稚魚を放流し冬場に漁獲することで、冬の水温が車えびに適していることがわかったんです。
発想の転換により内地と久米島では、出荷の時期が重ならなくなり、車えび市場で高値を付ける事につながり、沖縄の車えびは独占となったんですね~
ところでエポック場長の上地さんは、18歳に久米島へ来て30年近く働く大ベテランですが、当時の苦労話しから驚きのエピソードを教えてもらいました。
えびって、なんでも食べるんですね!
活車えび発送は”おがくず”から”シート”へ
生きたままの車えびを発送するために”おがくず”が箱に敷き詰められます。原料となる杉の木が久米島にはない為、創業当時はあちこちの木工所に行って、ただの木のかすを集めてきたこともあったそうですよ。
おがくずに詰められて届いたえびには、木の香りがしっかり移ってしまった為、『木の香りがしない車えびを送って欲しい』という要望もあり、木の伐採問題もあったことから、何か代用できないだろうか?と試行錯誤したそうです。そのきっかけになったお話があります。
水がなくても車えびは生きている!?
出荷が全て終わると、出荷水槽の水を全て抜きます。すると翌日、水槽の下から水がないのに2~3匹ひょこっと、しかも生きたまま出てくることがあるんだそうです。
また、冷たい新聞紙で車えびをくるんで持って行ったら、生きていたという事案もあったことから、”シート”の開発がスタートします。
シートの開発に成功し、無料で情報公開
内地の大手の製紙会社と共同で車えびに敷く”シートの開発”に成功し、実用新案を取得します。
開発した当時の役員はなんと同業者に、このシートの情報を無料で公開したのです。『みんなに使って欲しかったから』という理由でした。
特許と実用新案の違いは、特許は「物(プログラムを含む)・方法」を対象にし、実用新案は「物品の形状、構造または組み合わせ」を対象にしたのもの。
今では全国のほとんどの活えびの発送は、おがくずでなく、このようなシートに変わっているそうですよ。シートに変えたことで、車えびの発送の際に約30%もの軽量化に成功し、大幅な運賃カットにもつながりました。
※”生きたまま”の活車えびはクール宅急便ではなく、常温発送になります。雪深い極寒の北海道は、配達する間に外気で車えびが凍ってしまうので、その旨を了承いただいたうえで発送が可能ですよ。
甘くて美味しい車えびは、久米島の1月・2月
ところで車えびっていつが一番おいしいか知ってますか?
車えびは夏に産卵しますが、産卵のためのアミノ酸をいっぱい作ります。夏にはアスパラギン酸、冬は寒いので体をまもり、うまみが強くなるグリシンというアミノ酸をたくさん作るんです。この両方を比べると味が違って、冬の方があまいのです。なので、冬の時期の中でも 1・2月の車えびが一番おいしいということなんですね~。
『車えびの食べ方は、素揚げが好きですね。このくらいの小さめが好みです。』と、
南西興産の宮原忍(みやはら しのぶ)場長が教えてくれました。宮原場長はエポック勤務を経て、現在は南西興産で現場責任者である場長になられています。
世界中の海老の3分の1を日本人が消費するほど、日本人にはえび好きが多いことで知られますが、日本の食文化の中で、独特な食べ方といわれるのが活き造りです。生きたままのえびを食べるのは、生きているからこそ新鮮という日本の独特な考え方なんだそうですよ。
久米島の車えびは1年中エサを食べるから美味しい
えびは良いエサを与えるとさらに美味しくなります。
天然のえびは3~5年生きるのですが、内地の養殖えびは、冬場に冬眠状態に入るのでエサを食べないそうです。冬眠しているのでほとんどエサを与えない状態で、強制的(電気ショック)に漁獲しているというのです。
対して 久米島の養殖のえびは、いつも通りエサを食べ、自然な状態で車えびを漁獲することができるのですから、車えびにとって沖縄は最高の環境ですね。
昔は色々と試した車えびのエサも、今ではえびのエサ会社から仕入れをしています。なんと、1袋1万すう千円するというエサを、1池に180kgまくのです。それを池の数だけザバーっとまくのですから…え?毎日うん十万円まいてるってことですよね!!
するめのような、おいしそうな香りのする高級エサでした。車エビたちも大喜びで食べるんでしょうね。
共食いするえび達
みなさん、えびは共食いするって知ってましたか?
えびは成長するときに脱皮をして大きくなります。脱皮直後の車えびは殻はふにゃふにゃで柔らかいのです。その柔らかいときに、えびがえびの身を食べる…かと思いきや、なんと 目玉、足、ヒレ部分を食べるそうですよ!
殻が柔らかいときに食べられるえびは やわら車えびと呼ばれ、なかなか市場に出回らない貴重な車えびなんです。みなさんは食べた事ありますか?
車えびが大好きな、光合成で濁らせた水
そうか、わざと濁らせているんですね!外の海があまりにも綺麗なので、どうして濁っているのか不思議だったんです。
いけすには植物プランクトンがたくさんいて、光合成をする時に二酸化炭素を吸って酸素を出し、その酸素を車えびが吸い二酸化炭素を出していたから、水の色が濃い緑色っぽい茶色に見えていたようです。
酸素と二酸化炭素の循環の輪を作ることで、車えびにとって最高な環境を作っていたんだということを教えてもらいましたから、いけすのにごりの謎が解けて、スッキリしました。
これで誰に聞かれても、自信を持って伝える事が出来ますよね。(笑)
このいけすの中をもぐり管理をする潜水士の宮原場長は、以前ガイドダイバーをしていたので潜水の経験も相当多く、海のことも良く知っているはずですが、
と、海といけすとでは環境が全く違う事を教えてくれました。
今回は本村社長、上地取締役場長、宮原場長のお三方にお話しを伺いました。ご協力いただき、ありがとうございます。
男女問わず、求人大募集中!
現在【南西興産株式会社】と【株式会社エポック】の2社では、求人を大募集しています。
12月のお歳暮から始まり、現在も繁忙期まっただ中なんですが、
詳細は、うまんちゅ掲示板1月号をチェックしてください。⬇️
気になる仕事内容は、まずは車えびの出荷作業になるそうで、翌日の出荷の準備や、箱を補充する作業がメインになります。
仕事に慣れていくと、いずれは車えびの選別を覚えたり、生きたままの車えびの箱詰めもしていく作業にも携わることが出来るようになりますよ。
ヤル気のある方は、正社員になり国家資格の潜水士の取得にチャレンジすることも出来ますから、気になった方は是非、問い合わせてみてくださいね!
車えび地元還元【お年玉クーポン】やります!
この記事を読んでくれた久米島のみなさんに超朗報です!久米島の地元の方に還元したいと、車えびのお年玉クーポンを考えてくれました。
おひとり様1回限りで、2022年1月31日まで有効ですよ。
車えびが一番おいしい時期なのでお年賀として島外へお住まいのお友達へ贈ったり、家族で豪華な車えびディナーを楽しんでくださいね。
詳しくは、LINEクーポンをチェック!
南西興産とエポックのご案内
南西興産株式会社
南西興産のホームページはこちらから
〒901-3105
沖縄県島尻郡久米島町字宇根1676番地
電話 098-985-8459
電話番号は下四桁が『やま(8)しろ(4)こう(5)きゅう(9)』で、覚えやすい!
奧武島の近くの直売所に直接来ていただいて買うことが出来ますので、来店前に電話で相談してみてくださいね。活車えびの持ち帰りもできますので、是非ご予約してください。
株式会社エポック
エポックは久米島の固定のお客さんや、沖縄県の大手企業との取引きがメインです。リピーターさんが多いんですね。
〒901-3103
沖縄県島尻郡久米島町阿嘉661
電話 098-985-4700
熱帯魚の家の看板から入って行きますよ。
久米島で売っている値段が島民割りなので、車えびを買うときは、必ず久米島で買うことをおすすめします。直接エポックへご連絡くださいね。